放牧に際し、面積はどれくらい必要なのか?

 

第二回の今回は、そのことについて書きたいと思います。

    

昼夜放牧を行い、5月〜10月まで放牧をするのならば、

一頭当たりおよそ40a位の面積が必要になってきます。

これを50頭あたりに換算すると20hとなります。

さすがにこの面積を全部確保するのは難しいかもしれません。

   

 しかし、畜舎周辺に同程度の面積が求められるのであれば、

思い切って昼夜放牧を始めるということも、コスト・省力という面から見ても面白いかもしれません。

面積の確保が無理という場合は、その面積にあった放牧を行うという方法もあります。

昼間のみの放牧というものもありますし、頭数から見てもっと面積が少ない場合は、

第一回で書いたように、牛の健康を目的とした放牧もあります。
 

あくまでそれはケースバイケースで考えてください。
 

  では、実際に50頭の牛を昼夜放牧するための一例をご紹介します。

   

20haの面積の放牧地を20牧区に分け、1牧区1haとします。

牧柵は外周柵を完全な固定柵(フェンシングワイヤーなどを用いたもの)とし、

牧区を区切る内柵は、簡単に移動・取り外しのできる簡易なものにします。

    

 さて、牧草には季節生産性があります。

その季節生産性から計算すると、牧区内の草量が元に戻るためには、春なら11日、

夏から秋は23日程度かかるということになります。

もちろん草の生産量は草地によって異なりますし、地域によっても変わります。

これは、最寄りの普及センターかJA営農課の方に相談するのが良いかと思います。

20ha20牧区を想定して放牧をする場合、草量を見て2牧区を1牧区として放牧を開始します。

*下図、牧区を区切る一例。
 

 これを10日で一巡させます。

二回位行うことによって、1日1牧区の放牧が行えるようになると思います。

  (一巡目、5日〜14日。二巡目、15〜19日)
 

1日1牧区になったらそのまま進めていきますが、最初の牧区が十分な状態に戻ったら、

最初の牧区へと戻り、その先の牧草は時期を見て刈り取ります。これは掃除刈りではありません。

始めの牧区と書きましたが、草地の生産量には違いがありますので、

その際は臨機応変に対応することが大切です。
   

  
 *一日一牧区で進めていき、
  
最初の牧区の草量が戻ったら最初の牧区へ。

  番号は目安。あくまで臨機応変に対応することが大切。
  

晩夏から秋になると草量は減少していきます。そうなると昼夜放牧は徐々に難しくなります。

それを補うためには、サイレージなどを給与する、

もしくは予備の放牧地を用意することが理想的です。
  

実際に放牧を行う中で考えることは?

 放牧草の特徴は蛋白質が高く、繊維が少ないことです。

短草で利用することにより、なお一層その率が高くなります。

イネ科草の牧草地の短草利用がいい例だといえるでしょう。

 こういった栄養の偏りは、クローバーが少ない場合や草地の質の低下、

または不食草が多い草地など、牛が選び食いをすることによっても起こりえることなので、

注意が必要です。
 

このような栄養の偏りを配合飼料で補う場合は、高カロリー低蛋白質の物を選びます。

一般に繊維の補給にはビートパルプ等が多く使われていますが、

中にはコーンサイレージなどを利用している人もいます。

 さて、こうしたことを進めていく中で、ぜひ一度、放牧草の分析を行ってください。

餌計算も普及センターの方と相談することが大切です。
 

 最近、牛の蛋白質とエネルギーの摂取バランスを反映する、

乳中尿素窒素(MUV)が分析されるようになり、牛の栄養指標として活用されています。

この事についても普及センターの方と相談されるとよいかと思います。

 

 今回は実際に放牧を実践していく中での話を書かせていただきました。

このコラムが皆様が放牧をする際の参考になれば幸いです。

 

 次回は実際に放牧地をレイアウトする時について書こうと思います。

 では、また次回お会いしましょう。

五十嵐 勇