第7回~放牧あれこれ~

放牧あれこれ

今年も生産調整があって、自由には搾れません。
飲用乳の消費が伸びないのが原因のようですが、飲用乳が伸びないとチーズなどの加工用に多く向けられてしまうため、乳価が下がってしまいます。
さらに心配なのは濃厚飼料の高騰です。
原因はテレビや新聞での報道によると、原因の一つはエタノールの原料です。
米国など色々な国で、トウモロコシなどがエタノールへと変わっています。
昨今の原油高、そしてエタノール使用による温室効果ガス、Co2の排出削減効果により、エタノールは今、脚光を浴びています。

2つ目は中国の食糧輸入量の増大でしょうか。

3つ目は米国、オーストラリアでの干ばつが挙げられるでしょう。
ニュージーランドに留学中の人の話によれば、オーストラリアでは干ばつにより、小麦を輸入しなければならない状況になっているそうです。
以前、濃厚飼料が70円になったことがありました。
しかし、その時は乳価が90円位で、その差は20円ありました。
飼料代が50円を越し、乳価が60円半ばとすると、その差は15円以下になります。
これからは穀物(本来は人間の食料)にあまり依存しない酪農が必要になってくるのではないでしょうか。
根釧地方では、草余りが言われています。
1番草で必要量がほぼ確保でき、2番草には肥料をあまりやらない人がいると聞きます。
これは、実にもったいない話といえます。

牛は本来草食動物です。
草が牛にとって1番よい飼料であることはもちろんですし、コストの安い飼料のはずです。
そして、最もコストの安い方法が放牧利用です。

放牧を中心(昼夜放牧)にすることで、コストを下げている人を、私は多く見てきました。
濃厚飼料の高騰や、燃料などの資材の高騰が起こっている今では、その差がもっと大きくなっていると思います。

放牧を行う前には、手間がかかる、乳量が下がる、コストが下がるだろうかなどと心配する人が多いのですが、私が関わった人や話を聞かせてもらった人の多くは、放牧をやってよかったという話を聞かせてくれました。
失敗してやめたという人はいません。

もちろん難しい問題はあるかと思います。ですが、思い切ってやることだと思います。
案ずるよりも産むが易しということでしょうか。

初めて放牧をする人は小面積から始めることも一つの方法です。
出来ることから始める、日中だけでも放牧している人は面積があるのならば、昼夜放牧に挑戦してみてください。より効果が大きくなるかと思います。

しかしながら、放牧を始めるに至っては、準備が必要です。
まずは放牧で成功している人に話を聞きに行きましょう。有用な意見が聞けるかもしれません。
それから指導機関の人の話も聞きましょう。
そして予算を準備し、その予算に合わせた放牧を行っていきましょう。
これから厳しくなる酪農を取り巻く環境を乗り切る為、放牧に挑戦してみませんか?

五十嵐 勇