第10回~放牧と牛舎~

放牧と牛舎

牛舎は牛が休み、餌を食べ、搾乳をするところ。
牛にとって一番いい環境とは、夏に放牧をすること。
冬は放牧出来ないので暖かくゆっくりと休める場所、そして出来るだけ牛舎管理作業が容易なもの。さらには低価格であることが望ましいと思います。

今は多頭飼育が求められ、1億円以上を必要とする牛舎が当たり前の様になってきました。
しかし、そこまで規模を拡大しても、思ったより所得が上がらないという話をよく聞きます。

そんな中、牛に優しく比較的安価な牛舎、フリーバーン牛舎が注目されています。
以前にもあったのですが、牛床が泥濘化して牛体が汚れるということもあり、敬遠されるようになり、フリーストールバーンが登場しました。

今では、フリーストールバーンは高価な牛舎になりましたし、コンクリートの上に飼育されていることも多く、牛に無理がかかることで耐用年数が短くなる等の問題が出ています。
これらを解決しようとフリーバーン牛舎に取り組んだ、標茶町の牧場をご紹介します。鶴居村の法人農場、新得町の共同農場を見て踏み切ったようです。

80頭規模で、2月より飼育が始まりました。
投資は機械などを入れて、およそ5千万円位との事ですので、かなり安価であると言えます。
牛床に特徴があるわけなのですが、最下部より火山灰がありその上にくず炭、完熟堆肥、おがくずを入れ、上部は撹拌しています。

2月の状況で牛床はうっすらと暖かく、臭気はまったくと言っていいほどありませんでした。
牛体も写真(写真1)で見るように、汚れはほとんどありませんし、牛ものんびりとした感じです。

牛の足、蹄の状態も良いとの事でした。
もちろん牛床管理には気配りが必要ですが、それが出来れば問題ないかと思います。

冬はフリーバーン牛舎でゆっくりと休み、夏は放牧で自由に草を食べる。
出来るだけ牛を自然の状態にしてあげるのが良いのではないでしょうか。
奥さんも牛舎に臭気がなく、気持ちがいいと満足のようでした。

写真
写真1
乾燥された牛床で牛はゆっくり
2月の写真
写真
写真2
牛が放牧地に出た後の牛床
5月の写真
写真
写真3
放牧風景
夏は屋外、冬はフリーバーン
同じく5月の写真
写真
写真4
牛舎全景

五十嵐 勇