第4回~内柵を張る~

内柵を張る

外柵張りの話は前回書きましたが、大事なことです。
しっかりと外柵を張ることにより、脱柵の心配をなくし、夜間放牧が可能になります。

また、夜間は鹿、キツネ、野鳥などといった野生動物に牛が驚き、暴走することがあるので安心できません。
だからこそしっかりとした外柵を張ることが大事です。

さて、実際に内柵を張る話に移ります。
固定して張る方法もありますが、自由に配置を変えられる方法がよいかと思います。
放牧頭数や牧区の草量などによって、牧区の大きさを変える必要があるからです。

下に一例を載せました。

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ピッグテイルポールなどを用いた内柵の写真。
写真のように牛道の周りは、しっかりと整備したいですね。

ゲートの張り方

ここでは、パーマネントポスト、スプリングゲートを用いる方法を紹介します。

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スプリングゲート設置写真
もちろんゲートには電気が流れているため、
牛が通り抜けることはありません。
ゲート幅は約5m
トラクターなどが通り抜けるには十分な幅です

パーマネントポストは天然の木材でありながら、絶縁体の性質を持つため電気を通しません。 ゲートやポリワイヤーなどを、碍子を用いることなく張ることができます。

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パーマネントポスト使用例
地面に打ち込んで使用します。
絶縁体の性質により、碍子の取り付けを必要としません。

そのときの草量によっては、草量を多くするために内柵のワイヤー自体をはずすことがあります。
その時は、リール(巻き取り機)を使うと便利です。

水槽の設置

牛は水を多く要求します。
放牧草は水分が豊富だから、水はあまり必要としないと思うかもしれませんが、そうではありません。
放牧時には、気温や湿度に応じて飲水回数、飲水量が増えます。

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水槽の設置写真
写真のように牧区をまたがせると糞尿等により、
水槽内が汚れることが少なくなります。
牛は多量の水を必要とするため、
水槽はしっかりとしたものを設置しましょう。

水槽は上の写真のように牧区ごとに設置してください。
水槽と放牧地が離れていると、牛は水も草も十分にとりません。
牧区ごとに水槽をつけたことで、一頭あたり2kg/日くらい増加した例もありました。
また、タンクを使って水を運ぶと牛道が痛むことがあります。
水槽を設置することでこの心配も解消されます。

水槽を設置する方法として、写真のように牧区をまたがせる方法があります。。
このように設置すると水槽の設置数が半分で済みますし、
牛が水槽の中を、糞尿等で汚してしまうということも少なくなります。


今回は内柵の張り方、そして水槽の設置について書かせていただきました。
基本的なことばかりですが、皆さんのお役に立てる内容であればと思います。
次回は、放牧地の快適性を保つために、という題で書かせていただく予定です。
では次回のコラムでお会いいたしましょう。

五十嵐 勇