第6回~放牧地の造成・管理~

放牧地の造成・管理

放牧地の品質や草量は季節によって大きく変動するため、草量と乳量の必要量を一致させるのは難しいものです。
安定的な生産を挙げるためには、草地更新、土壌診断に基づいた施肥、不食過繁茂草の掃除刈り、植生維持の為の追播などが必要になります。
また、乳牛の頭数と草量を見極め、牧区の大きさを加減する(簡易柵などで仕切る)ことも大事な仕事の一つです。

草種の組み合わせについては、その地域にあったモデル的なものが普及センターかJAの営農部にて教えていただけると思います。
放牧にあった草種、品種も今はかなり良いものがあります。施肥についても同様です。
まずは、聞いてみるのがいいかと思います。

道東は、ペレニアルライグラスでは冬枯れによるダメージが大きい為、かなり厳しいものがあります。
道北、道央では大変よく、ニュージーランドではイネ科の主体草種に使われています。
これに代わるものとして、メドウフェスクがあります。
しかし、メドウフェスクは食べ遅れると硬くなり不食過繁茂草となってしまいます。
草の状況に合わせて強い放牧を行い、放牧開始も早くすることが有効かと思います。
また、メドウフェスクは春~夏は硬いのですが、秋になると意外に柔らかくなり、秋遅くまで生育してくれます。

クローバーの維持が放牧には大切です。そのための施肥も色々と考えられています。
これも普及センターに相談されるといいかと思います。
また、植生の維持には追播が効果を上げています。
今は草地造成も高価につきますし、追播の機械も良いものが出ていますので、ぜひ試みてください。

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実際にシードマチックという機械で追播を行っている写真
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追播後に生育している牧草
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クローバーの密度の高い草地

当社にも写真上部に写っているような機械(シードマチック)があります。
良い結果も出していますので、興味のある方は会社の方にお問い合わせください。
植生をよくするのには、土壌を柔らかくすることが大事です。

草地は古くなると硬くなってきます。
以前行った調査によると、その時は上から10~20cmのところに硬い層が出来ていました。
また、よく言われるのは、離底盤の部分が(30~35cm)硬くなるということですが、草地ではそれよりも上部のようです。
考えられる原因は、トラクターや作業機が年に何回も草地を走ることかと思われます。
この改善にも様々な方法があり、また機械も出ています。

当社でも下部写真に見られるような機械(アースクエイカー)があります。
深さの調節も出来ますので、ぜひ使ってみてください。
水はけがよくなる、根張りがよくなるなど、草地改善に高い効果があります。

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実際にアースクエイカーを使用している写真
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硬くなってしまった地盤に対し、高い効果があります。

今回は放牧地の造成・管理ということで、放牧草の植生の維持、追播などについて書かせていただきました。
放牧地を長く使っていくには、こうしたことが大切になってくるかと思います。
わずかばかりのことで詳しくは書いておりませんが、何かの参考になれば幸いです。
では、また次回のコラムでお会いしましょう。

五十嵐 勇