第9回~放牧の準備を~

放牧の準備

間もなく放牧が始まります。牛にとって気持ちのいい季節となります。
準備の方はいかがでしょうか。
電牧器はきちんと働いていますか、電圧は十分に出ているでしょうか?
離れた放牧地は大丈夫でしょうか、漏電をしている場所はないでしょうか?
放牧地を早いうちに一周してみるのが大事です。

電牧器に異常がある場合は、すぐにメーカーに見せましょう。
修理に時間がかかる場合があるからです。
柵に用いるフェンシングワイヤーなどの高張力線は丈夫ですが、ポリワイヤーは何年か使用するとポリ部分が風雨、日光で老朽化し、電圧が低下してしまいます。
細かく点検し、老朽化が進んでいる場合には張替えをお勧めします。

放牧の開始は、出来るだけ早いほうがいいかと思います。
ややもすると遅れ、牛の採食が間に合わず、不食過繁草を作ってしまうことになり、後が大変になります。

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今年の道東は雪が多く、土壌凍結が浅いようです。
春の草の伸びは早いのではないでしょうか。

草の生育にはご存知の様に「スプリングフラッシュ」があります。
これを少しでも減少させるために、施肥の調整を行っている方がいます。
やり方には色々ありますが、早春に施肥をせず1回目の放牧をしてから施肥を行う人。
早春は放牧地の2分の1~3分の1に施肥をして、他は六月に入ってから施肥をするなど、色々と工夫されているようです。

放牧開始は訓致放牧も含め、4月下旬~5月上旬、牛が草地を傷つけない状態になったら始めてよいと思います。
ただし放牧する面積も(牛1頭当たり)よく考えなければなりません。

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今年は、まだ放牧地で水を与えていない人は、ぜひ牧区ごとに水槽を設置することを考えてみてください。
牧区を多く作っても、牧区ごとに水槽がなければ乳量は増えません。
パドックに水槽があっても、牛は牧区とパドックを行き来しにくいものです。
牧区に水槽を設置したところ、日量2kg程度増加したと言う例もあります。

水槽の設置の方法としては、写真のように牧区を跨がせ、2牧区に1台設置というのが良いと思います。
※一群60頭ぐらいまで、それ以上の場合は2台必要

北海道ではコストを下げる一番の方法は、放牧だと思います。
牛の健康維持のためにも大事なことだと思います。

フリーストールバーンで牛を飼われている人にも、ぜひ放牧を取り入れてもらいたいと思います。
牛の健康・省力のためにも必要なことなのではないでしょうか?
牛の健康を考えて、小規模な放牧を行い、効果を上げている人もいます。
(100頭で10haほど)

この機会に放牧を試みてはいかがでしょうか?

五十嵐 勇